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雑学シリーズ 「東京タワー、本当は何色?塗装に隠された秘密と職人技」

東京の夜空に輝く、あの優美な鉄骨の塔。私たちは迷うことなく「赤と白」のタワーと認識しています。しかし、その「赤」は厳密には赤ではありません。

日本のランドマークのカラーリングには、航空機の安全を守る法律と、職人の熟練の技という、二つの大きな秘密が隠されているのです。


 

1. 8割が不正解?「赤」ではないタワーの色

私たちが「赤」だと思っている東京タワーの色。実は正確には「インターナショナルオレンジ(黄赤)」という色であり、とのツートンカラーで塗られています。

  • インターナショナルオレンジとは? この色は、単なるデザインカラーではありません。海上保安庁の巡視船や救難服、ライフジャケットなどにも使われる、国際的に視認性が高いと認められた色です。
  • 色が決められた理由: 高さ333mの東京タワーは、当然ながら「航空法」の適用を受けます。法律では、高さ60mを超える建造物には、航空機が昼間でもその存在を明確に認識できるように「昼間障害標識」を設置することが義務付けられています。この標識の色こそが、白とインターナショナルオレンジだったのです。
  • もし、スカイツリーのように「高光度航空障害灯」を設置すれば、この塗装は不要ですが、建設当時、東京タワーにはこのツートンカラーが採用されました。

遠くから見ると赤にしか見えないのに、近くで見るとわずかにオレンジがかっている。この微妙な色の違いは、「景色の美観」と「航空機の安全」という二つの要素を満たす、機能美の結晶と言えるでしょう。

 

2. 5年に一度の「サビとの戦い」と手塗り神話

 

東京タワーの鉄骨は、風雨や太陽光、そして都市の排ガスに常にさらされています。その構造体を守っているのが、約5年に一度行われる大掛かりな塗り替え工事です。

  • 鉄骨を守るための塗装: 塗装の最大の目的は、鉄骨の**サビ(錆)**を防ぐことです。この防食塗装の耐久力のおかげで、開業から数十年の時を経ても、タワー内部の鉄骨は腐食せずにその強度を維持し続けています。
  • 膨大な夜間作業: 塗り替え工事の総面積は約8万平方メートルにも及び、その工期は1年以上。タワーの営業に影響を与えないよう、作業は基本的に観光客がいない深夜(23時頃)から明け方にかけて行われます。
  • スプレー厳禁、「刷毛」一本の熟練技: 高所での作業では、塗料が周囲に飛び散るのを極限まで避けなければなりません。そのため、職人はスプレーガンではなく、すべて**刷毛(はけ)**を使って手作業で丁寧に塗っていきます。この手塗りは、塗膜を鉄骨にしっかりと密着させ、耐久性を高めるという点でも優れています。
    • 塗り替えには、下塗り・中塗り・上塗りの3種類の塗料が使われ、その塗膜の厚さはミクロン単位で厳密に管理されています。これは、塗りすぎるとタワー全体の重量が増し、負荷となってしまうからです。

 

3. 命綱一本にかける職人の誇り

地上何百メートルという高所で、命綱一本を頼りに鉄骨を登り、夜間に黙々と塗装を続ける職人たち。彼らの作業には「危険」と「誇り」が常に隣り合わせです。

全国から集まる熟練の塗装職人たちは、日本一有名なシンボルタワーに自分の技術を刻むことに大きなやりがいを感じています。彼らが流す汗と技術こそが、東京タワーの変わらぬ美しさを支える、もう一つのライトアップと言えるでしょう。

 

大井町 建築・リフォーム相談センター

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