防水工事を怠っていると、雨漏りが起きやすくなり、建物自体の寿命を短くしてしまう可能性があります。
今回は、防水工事の種類、防水工事が必要かどうか見極めるサインについてお伝えしようと思います。
防水工事とは?
防水工事とは、建物の屋外にあるベランダやテラスなどの床面に対して、雨水や湿気などから浸食や漏水を防ぐために行う工事です。
ベランダやバルコニーの防水加工は、下地の上に「プライマー」「防水層」「トップコート」を重ね塗りすることで形成されています。
ひと口にベランダ防水工事といっても、劣化の進む範囲によって必要な補修工事の内容が異なります。
防水の改修工事が必要となる2つの理由
①防水機能が低下して雨漏りが起きやすくなる
一般的な住宅のベランダや屋上部分には、建築した際に防水機能が備え付けられています。ベランダや屋上部分に防水機能が備え付けられている目的は、雨水が床や建物内部に浸透してしまうのを防ぐためです。
雨水が床や建物内部に浸透してしまうと、下の階への雨漏りにつながるほか、床材そのものがもろくなってしまって建物の寿命が短くなることにもつながります。
そのため定期的にベランダや屋上部分の防水工事を行うことで、雨漏りが生じることを防ぐ必要があるのです。
②雨漏りが原因で建物内部の劣化やシロアリが発生しやすくなる
防水工事をやらなければならないもう一つの理由として、雨漏りが原因による建物内部の劣化や、シロアリの発生する可能性を高めてしまうことが挙げられます。
防水工事をせずに長期間放置していると、雨水によってベランダなどが劣化してしまい、雨漏りが起きやすくなってしまいます。そして建物の内部に雨水が浸透してしまうと、カビや腐食で建物内部が劣化してしまうのです。
また建物内部に雨水が浸透して湿気が多くなると、シロアリが発生しやすくなります。雨漏りからシロアリ被害に発展するケースも多いので、建物を長持ちさせるためにも防水工事は定期的に行わなければなりません。
ベランダ防水工事の種類
ベランダに施工できる防水工事は、主に次の2種類に分けられます。
①FRP防水
②ウレタン防水
それぞれの工事の特徴について、以下で詳しく解説していきます。
①FRP防水工事
FRP防水工事とは、塗膜防水の一種でコンクリートや木材で作られた床の上にFRPシートを敷いて、その上に樹脂を塗って硬化させる工事のことです。
FRPは、バスタブや自転車のボディパーツ、ロケットなど、防水性に加えて軽さや強度を求められる場面で使われている素材になります。
FRP防水工事のメリット・デメリット
FRP防水工事のメリットは以下のとおりです。
- 軽量で耐震性がある
- 摩擦や重みに強い
- 耐久性に優れている
- 工期が短い
- 塗りムラが生じにくく均一に仕上がりやすい
一方でFRP防水工事のデメリットは、以下のとおりです。
- 他の防水工法よりも費用が高くなりやすい
- プラスチックの独特な匂いがある
②ウレタン防水工事
ウレタン防水工事とは、FRP防水工事と同じく塗膜防水の一種で、ウレタン樹脂をベランダに複数回塗ることで防水層を形成し、建物への水の浸入を阻むことを目的とした防水工事のことを指します。
ウレタン防水工事のメリット・デメリット
ウレタン防水工事のメリットは以下のとおりです。
- 断熱性能が高い
- 水や湿気に強い
一方でウレタン防水工事のデメリットは、以下のとおりです。
- ウレタンが可燃物のため耐火性能に弱い
- 職人でなければ均一に塗布することが難しい
番外編:トップコートの塗り替え
ベランダやバルコニーの床は下地の上に防水層があり、その上にトップコートが塗られているつくりが一般的です。
そしてトップコートは、防水層を紫外線や摩耗から守ってくれる効果を有しています。トップコートが劣化して剥がれてしまうと、防水層が直接雨水や紫外線にさらされてしまうので、劣化がしやすくなります。
防水層が直接雨水や紫外線にさらされて劣化してしまい、雨漏りなどが起きやすくなることを避けるためにも定期的にトップコートの塗り替えを行わなければなりません。
ただし、トップコートの塗り替え自体に防水性能はなく、前述したFRP防水層やウレタン防水層を保護して耐久年数を延ばすための処理です。防水層の耐久年数によっては、トップコートの塗り替えでは対応出来ない場合もあります。
トップコートの塗り替えのメリット・デメリット
トップコート塗り替え工事のメリットは、以下のとおりです。
- 防水層を守ってくれる
- 遮熱効果があるので、建物を熱から守ってくれる
- ベランダ床表面の粘着やざらつきをカバーしてくれるので、お手入れがしやすくなる
- 他の防水工事と比較すると費用が安い
一方でトップコート塗り替え工事のデメリットは、以下のとおりです。
- すでに目立つ剥がれや裂け目などの劣化が進行している場合は効果がない
前述のとおり、トップコートはあくまでも防水層を保護するためのコーティングに過ぎず、内部の防水層が劣化してしまっている場合は劣化の進行を止めることができないためです。
ベランダの防水工事が必要な4つのサイン

ベランダ防水工事は、雨漏りが起きる前に定期的に行う必要があります。そこで以下では、ベランダの防水工事を行うべきタイミングを見抜くために知っておきたい「4つのサイン」をご紹介いたします。
お住まいのベランダで少しでも気になるサインが表れたら、雨漏りは起きる前にベランダ防水工事を行いましょう。
①ベランダの床表面が色あせ始めた
ベランダの床表面が昔と比べて色あせ始めたら、防水工事を検討する必要があります。
床表面が色あせ始めているだけであれば、まだ防水層まで劣化は達していない可能性はありますが、長期間放置してしまうと防水層が劣化してしまうため、防水層の張り直しが必要になります。
またベランダの床表面が色あせていなかったとしても、新築住宅もしくは前回の防水工事から10年以上経過しているのであれば、メンテナンスを行うタイミングです。
②ひびや剥がれが目立ち始めた

ベランダの床表面にひびや床材の剥がれが目立ち始めている場合、防水工事が必要です。
ひびや床材の剥がれを長期間放置していると、そこから雨漏りが発生して建物内部の腐食やシロアリが発生してしまう可能性が高まります。
建物全体の修理工事が必要になる場合もあるので、ベランダの床表面に、ひびや床材の剥がれが目立ち始めたら、すぐに業者に相談してください。
③ベランダに雑草が生え始めた
風により砂や落ち葉がベランダに溜まり、雑草が生えることがあります。多少の雑草であれば砂や落ち葉と共に、こまめに除去することをオススメします。
もし、数年にわたり掃除をせず、雑草が生えるようなことがあれば、根元がベランダの防水層に達していることもあります。自分自身で雑草を抜いたりせず、防水業者に相談して防水層に影響がないかチェックしてもらいましょう。
④雨漏りや天井に気になるシミができ始めた

ベランダに接している部屋の天井や壁に、雨漏りや気になるシミができ始めている場合、すでにベランダの防水効果が失われて家の内部に雨水が浸食しています。
この状態まで進行してしまうと、建物内部が劣化していたり、シロアリが発生していたりする可能性が高いです。
まとめ
ベランダの防水を怠っていると、雨漏りだけではなく、建物内部に侵入した雨水によってシロアリの発生や柱の腐食などが発生してしまいます。
結果的に建物の寿命が短くなってしまうこともあるので、ベランダ防水工事は必ず定期的に行いましょう。
またお住まいの住宅のベランダの形状や使われている床材によって、適している防水工事の方法は異なります。
必ず業者とよく相談をして、お住まいのベランダに適した方法で工事を行うようにしてくださいね。
大井町 建築・リフォーム相談センター
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