日本の住空間で広く愛用されている引戸。開閉スペースを取らず、バリアフリーにも適しているため、新築やリフォームで採用を検討される方も多いでしょう。
しかし、引戸には大きく分けて「インセット」と「アウトセット」という2つの納まり方があり、それぞれ見た目や使い勝手、設置できる場所に大きな違いがあります。
このコラムでは、インセット引戸とアウトセット引戸の特徴、そして選択の際に考慮すべきメリット・デメリットを詳しく解説します。

1. インセット引戸とは?(引込み戸)
インセット引戸は、扉を開けた際に、壁の内部に設けられたスペース(戸袋)に扉全体が引き込まれて収まる方式です。最も一般的な引戸の納まり方で、「引込み戸」とも呼ばれます。
📌 メリット(利点)
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デザインがスッキリ: 扉が壁の中に完全に隠れるため、開放感があり、非常に見た目がスッキリしています。閉めている時も開けている時も、空間に美しく馴染みます。
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壁を有効活用できる: 扉の引き込み側に家具をぴったりと配置したり、絵画などを飾ったりすることが可能です。
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気密性が高い: アウトセットに比べて、戸と壁の隙間が少なく、音漏れや冷暖房の空気漏れを抑えやすいです。
⚠️ デメリット(注意点)
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設置場所に制約がある: 扉を収納するための「戸袋」を壁の内部に作る必要があるため、その部分の壁は薄くなります。そのため、建物の構造を支える耐力壁や、配線・配管がある壁には基本的に設置できません。
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コンセントやスイッチが設置できない: 戸袋部分の壁には、コンセントや照明のスイッチを設けることができません。
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リフォームの難易度: 既存の開き戸から変更するリフォームの場合、壁を壊して戸袋を作る大掛かりな工事が必要になることが多く、費用や工期がかさむ傾向があります。
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メンテナンス: 戸袋内部のメンテナンスは難しく、レールの掃除などもアウトセットより手間がかかることがあります。
2. アウトセット引戸とは?(上吊り引戸)
アウトセット引戸は、既存の壁の外側にレールを取り付け、扉が壁に沿ってスライドして納まる方式です。リフォームで開き戸から引戸に変更する際などに多く採用されます。多くは床にレールがない上吊り式です。
📌 メリット(利点)
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設置の自由度が高い: 扉を壁の外でスライドさせるため、壁の構造(耐力壁など)に影響を与えにくく、比較的どんな場所にも設置しやすいです。
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リフォームしやすい: 既存の壁を大きく壊す必要がないため、短期間・低コストで開き戸から引戸への変更が可能です。
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バリアフリー: 床にレールがない上吊り式が多いため、足元がフラットで、段差がなくバリアフリーに最適です。掃除も簡単です。
⚠️ デメリット(注意点)
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見た目に「後付け感」が出る: 扉や上部のレールが壁の外側に出るため、インセットに比べるとスッキリ感に欠け、場合によっては「後付け感」が出てしまいます。
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壁の利用に制約: 扉がスライドするスペース(引き込み側)の壁面には、家具をぴったりと置くことができません。家具と扉の間に隙間が必要になります。
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気密性が低い: 扉と壁の間に隙間が生じるため、音漏れやニオイ漏れ、冷暖房効率の低下がインセットよりも懸念されます。トイレや寝室など、気密性が求められる場所では注意が必要です。
3. インセット vs. アウトセット 比較表
| 項目 | インセット引戸 | アウトセット引戸 |
| 見た目 | 扉が壁に収まりスッキリ | 扉とレールが壁の外側に見える |
| 設置自由度 | 低い(戸袋が必要なため) | 高い(壁の構造に影響が少ない) |
| リフォーム | 大掛かりになりやすい | 比較的容易、短工期 |
| 気密性・遮音性 | 高い | 低い(隙間ができやすい) |
| 壁の利用 | 引き込み側も家具配置可 | 引き込み側は家具配置が難しい |
| バリアフリー | 床レール無しなら適している | 上吊り式なら足元フラットで最適 |
| 設置場所の制約 | 耐力壁など構造壁には不可 | ほぼどこでも設置可能 |
4. どちらを選ぶべきか?選び方のヒント
🏡 インセット引戸がおすすめなケース
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新築や大規模リフォームで、間取りや構造を自由に設計できる場合。
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リビングや居室など、デザイン性と気密性・遮音性を重視したい場所。
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扉を閉めている時も開けている時も、空間全体を美しくスッキリ見せたい場合。
🛠️ アウトセット引戸がおすすめなケース
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既存の開き戸を引戸に変えたいなど、壁を大きく壊さずに手軽にリフォームしたい場合。
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トイレや洗面所など、狭い空間で開閉のしやすさ(バリアフリー)を優先したい場所。
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構造上の制約(耐力壁など)で、インセット引戸の設置が難しい場所。
引戸は、開き戸にはない快適さと機能性を持っています。
インセットとアウトセット、それぞれの特徴を理解し、ご自宅の構造、用途、そして重視したいポイントに合わせて最適な引戸を選んでください。
大井町 建築・リフォーム相談センター
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