リフォーム工事は、住まいの価値を高め、生活の質を向上させるための重要なプロジェクトですが、工事の過程で予期せぬトラブルに直面することもあります。
トラブルを未然に防ぎ、発生時に迅速かつ適切に対処するためには、施主側も知識を持つことが不可欠です。
ここでは、リフォーム工事中によく発生する主要な三つのトラブルと、その具体的な対処法について解説します。
1. 工事内容・仕上がりの認識相違
「言った」「言わない」といった口頭でのやり取りに起因する認識のズレは、最も頻繁に発生するトラブルの一つです。
仕様の変更、設備の位置、使用材料など、細かい部分の確認不足が原因となります。
トラブル事例
- 指定した壁紙や設備機器の品番とは異なるものが設置されていた。
- 照明スイッチやコンセントが図面の位置と異なっている、または勝手に移動・削除されていた。
- 口頭で依頼した追加・変更事項が、現場に正確に伝達されていなかった。
対処法
最も重要なのは、全ての指示と合意を書面または電子記録に残すことです。
- 契約書・図面との照合: 現場の状況と、契約書、最終図面、見積書に記載されている内容を照合し、相違点を明確に特定します。
- 議事録・書面による記録の徹底: 打ち合わせや現場での指示、仕様の変更については、議事録を作成するか、メール等の書面で業者と相互に確認し、記録を保存します。
- 変更合意書の作成: 当初の契約内容から変更が発生する場合は、金額や工期の変更を含め、必ず**「工事契約変更合意書」**を作成し、双方が署名・押印の上で合意します。
2. 予期せぬ追加費用の発生と見積もり額の乖離
工事中に建物の構造上の問題や劣化が発覚した場合、当初の見積もりになかった追加工事が必要となり、費用が膨らむことがあります。
曖昧な見積もりや、口頭での「サービス」も金銭トラブルの原因となります。
トラブル事例
- 解体時に床下や柱の腐食が発覚し、大規模な補強工事が必要になった。
- 口頭で合意した「サービス」の工事が、後から追加費用として請求された。
- 当初の見積もりに不確定要素が多く、結果的に請求額が大幅に増加した。
対処法
契約前のリスク確認と、追加工事発生時の書面合意が不可欠です。
- リスクと概算費用の事前確認: 契約前の打ち合わせで、解体後に不具合が発見された場合の追加工事の発生リスクと、その際の概算費用について、業者と明確に話し合っておきます。
- 追加工事の書面化: 予期せぬ追加工事が必要になった場合でも、業者に工事内容と追加費用を明記した書面を提示させ、施主が内容を理解・納得した上で合意書を交わしてから工事を進めてもらいます。
- 口頭での約束は避ける: 追加や変更に関する金銭的な取り決めは、全て書面で行い、口約束は避けます。
3. 工期の遅延・工事の中断
工期の遅延は、施主の仮住まい費用や引っ越しスケジュールに大きな影響を与える生活上の問題に直結します。
資材納入の遅れや職人の手配ミス、業者の管理体制の不備などが主な原因です。
トラブル事例
- 引き渡し予定日を過ぎても工事が完了せず、仮住まいの延長費用が発生した。
- 工事の進捗が悪く、現場に職人が来ない日が増えるなど、工事が不当に中断した。
- 天候不順以外の理由で、工期が頻繁に変更・延長された。
対処法
契約時に遅延に対する取り決めを行い、工事中は進捗管理を徹底します。
- 遅延損害金の取り決め: 工事請負契約書に、工期が遅延した場合の**「遅延損害金」**に関する規定(金額または算定方法)が明記されているか確認します。
- 工程表の提出と進捗確認: 業者から詳細な工程表を提出してもらい、定期的に現場を訪問して進捗状況を担当者と確認します。
- 遅延理由の文書化: 遅延が発生した場合は、その具体的な理由と、新たな完了予定日を明記した文書を業者に提出させ、今後のスケジュールについて合意します。
トラブル解決のための相談窓口
当事者間の話し合いで解決が困難な場合は、第三者機関へ相談することが有効です。
- 公益財団法人 住宅リフォーム・紛争処理支援センター(住まいるダイヤル): 専門家による無料の電話相談や、紛争解決のための裁判外紛争解決手続き(ADR)のサポートを提供しています。
- 消費者生活センター: 契約に関する問題など、広範囲の消費者トラブルについて相談を受け付けています。
リフォームを成功させるためには、業者任せにせず、施主側も契約内容、仕様、進捗状況について積極的な確認と記録を行うことが重要です。
大井町 建築・リフォーム相談センター
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