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騒音トラブルを解決!住まいの「遮音」「吸音」「防振」徹底活用ガイド

音の悩みは「遮断」と「調整」で解決する

 

集合住宅や密接した戸建て住宅において、「音」は最も深刻な生活トラブルの原因の一つです。
テレワークやホームシアターの普及により、自宅の音環境への要求は高まる一方です。

「防音」対策を成功させる鍵は、音の対策が主に**「遮音(シャットアウト)」「吸音(響きを抑える)」、そして「防振(振動を断つ)」**の3つの技術から成り立っていることを理解し、騒音の種類に応じて適切に使い分けることです。

1. 基礎知識:音対策の三原則とその役割

 

音の対策を始める前に、それぞれの役割を正しく理解しましょう。

① 遮音(音を跳ね返す:音漏れを防ぐ)

音のエネルギーを反射させ、向こう側へ透過するのを防ぐことです。外部からの騒音の侵入や、室内で発生した音の漏れを防ぐための基本となる対策です。

  • 効果: 音のボリュームを下げる効果

  • 重要な要素: 質量(重さ)と密閉性。密度が高く、重い建材ほど遮音性が高くなります。

② 吸音(音を吸収する:響きを抑える)

音のエネルギーを素材内部で熱などに変換し、反射を減らすことです。これにより、室内の**残響(反響)**を抑え、音がこもるのを防ぎます。

  • 効果: 室内の音質の改善、クリアな音響空間の実現

  • 重要な要素: **多孔質(繊維質)**で、音が入ると出てこない素材。

③ 防振(振動を断つ:床や壁を伝わる音を防ぐ)

足音や洗濯機、スピーカーの低音など、**構造体を振動させて伝わる音(固体音)**の伝達を抑制することです。遮音や吸音だけでは固体音は防げません。

  • 効果: 階下への足音の軽減、振動による壁の共振の抑制

  • 重要な要素: 弾性体(ゴムなど)による縁切り

 

 

2. 実践:騒音の種類別・具体的な対策例

対策が必要な音源によって、どの要素に注力すべきかが変わります。

ケースA:話し声・車の音(空気音)対策

 

主に遮音密閉性を強化します。

部位 目的 遮音・吸音 具体的な対策例(建材・工法)
外部騒音の遮断 遮音 🔸内窓(二重窓)の設置:最も効果的。空気層が遮音性を劇的に高めます。

🔸防音ガラスへの交換:遮音性の高い特殊な合わせガラスを使用。

🔸遮音カーテン:手軽な対策として、窓との隙間なく吊るす。

隣室への音漏れ防止 遮音 + 吸音 🔸壁の多層化:既存の壁に遮音シートを貼り、さらに石膏ボードを二重にして貼り付ける。

🔸吸音材の充填:壁の内部にグラスウールなどの吸音材を隙間なく詰める。

ドア 廊下への音漏れ防止 遮音 + 密閉 🔸防音ドアへの交換:ドア本体が重く、枠との隙間がない(密閉性が高い)タイプを選ぶ。

🔸隙間テープ:既存のドアの枠とドアの隙間に気密性の高いテープを貼る。

 

ケースB:足音・振動(固体音)対策

主に防振を強化し、振動が構造体に伝わるのを防ぎます。

部位 目的 対策要素 具体的な対策例(建材・工法)
床(階下へ) 衝撃音の伝達抑制 防振 + 吸音 🔸防音フローリング:裏面にクッション材が貼られた遮音性の高い床材に張り替える。

🔸二重床・浮き床工法:コンクリートスラブと床材の間に防振ゴムを挟み、完全に縁を切る構造にする。

🔸防振マット・カーペット:手軽に敷ける厚手の防音マットや遮音カーペットを使用。

機器の振動 機器からの振動伝達抑制 防振 🔸防振ゴム:洗濯機やスピーカー、ルームランナーなどの下に防振ゴムや専用のマットを敷く。

 

ケースC:楽器演奏・オーディオ(音響調整)対策

 

遮音で外部への音漏れを防ぎ、吸音で室内の響きを調整します。

目的 対策の組み合わせ 理想の空間
外部へ音を漏らさない 遮音(最優先) 壁・床・天井・窓・ドアの完全密閉高質量化が必要です。

専用の防音室リフォーム(約150万円~/6畳)が確実です。

室内で音をクリアに聴く 吸音(調整用) 遮音対策で音を閉じ込めた後、吸音パネルを壁の一部に貼るなどして、残響時間を最適に調整します。

吸音しすぎるとデッドな空間になり、音の臨場感が失われるため、適度なバランスが重要です。

3. コラムまとめ:音対策の成功法則

 

  1. 音源の特定: 悩んでいる音(話し声か、足音か、低音か)が空気音なのか固体音なのかを特定しましょう。

  2. まず「遮音」と「防振」: 音漏れ振動といった近隣トラブルを防ぐには、まず遮音防振を最優先で強化します。

  3. 次に「吸音」: 遮音によって音が閉じ込められ、部屋が響くようになったら、吸音材を使って室内の音響環境を改善しましょう。

騒音問題は我慢するのではなく、適切な対策で解決できます。住まいをリフォームする際やDIYでの対策を行う際は、ぜひこれらの知識を参考に、快適な「音環境」を手に入れてください。

大井町 建築・リフォーム相談センター

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